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- 基本情報
- プロセス モデリング
- プロセスの実装
- プロセスの操作
- プロセスの監視
- プロセスの最適化
- 参考情報

Maestro ユーザー ガイド
システムとデータを連携する
Data Fabric でファイルを管理する
UiPath Maestro™ では、Data Fabric (以前の Data Service) でファイルが管理されます。電子メールの添付ファイルやクラウド ストレージ プロバイダーなどのソースからファイルをダウンロードするたびに、そのファイルは、ファイルの保存に対応した Data Fabric のエンティティにアップロードされます。
そのファイルは、 Data Fabric 参照 (以下で構成するトリプレット) を使用して参照されます。
- エンティティ名
- レコード ID
- フィールド名
この参照により、そのファイルをエージェンティック プロセスで使用できます。
前提条件
Maestro でファイルを使用する前に以下を確認します。
- 組織またはテナントで Data Fabric が有効になっている。
- ファイルをサポートするフィールドを持つエンティティが設定されている。
レコードの作成時に Data Fabric によって自動的にデータが入力されるフィールドを除き、入力が必須のフィールドはありません。
ユース ケースの例
この例では、Box からファイルをダウンロードし、メールの添付ファイルとして送信する方法を示します。
-
ファイルをダウンロード
- Box のコネクタから [ファイルをダウンロード] アクティビティを実行する送信タスクを設定します。
- ダウンロードするファイルを選択します。
- Data Fabric エディターを使用してファイル リソースの出力を設定します。ファイルをサポートするエンティティとフィールドをそれぞれ [エンティティ] と [フィールド] で選択します。

このアクティビティを実行すると、Data Fabric の新しいファイル レコードを指すData Fabric 参照 (
EntityName、RecordId、FieldName) が返されます。 -
ファイルをメールで送信する
- Outlook コネクタの [メールを送信] アクティビティを使用して別の送信タスクを設定します。
- 前の手順で得られたレコード ID を参照して、Data Fabric エディターでファイルを添付します。

テスト後、ワークフローの変数にレコード ID が得られます。

また、レコード ID を検索して、データが Data Fabric アプリケーションに存在することも確認できます。
- Maestro では、ファイルは Data Fabric を通じて排他的にサポートされます。
- 同じファイルが Data Fabric にすでに存在する場合は、その Data Fabric 参照を追加することでそのファイルを再利用できます。
Maestro でエージェントを使用する
Maestro でのエージェントの動作のしくみ
エージェントは、Maestro BPMN ワークフローでサービス タスクとして表されます。プロセスがサービス タスクを呼び出すと、Maestro は、特定のプロセス インスタンスに必要な入力パラメーターを使用して、対応するエージェントを呼び出します。
エージェントは出力データを Maestro に返し、このデータを使用してワークフローの次のステップが決定されます。使用されたツール、行われた判断、およびトレース データを報告するようにエージェントを設定することで、デバッグと透過性をサポートできます。
エージェントは以下のことが可能です。
- UiPath Platform 内で直接構築 (ローコードまたはコード化)
- 外部 API または Integration Service 経由で接続
- ワークフロー ロジックに基づき、イベントまたはシグナルによってトリガー
実例を見る: UiPath Maestro: シームレスで透明性の高いローン オートメーションを司るブレーン。
Integration Service 経由でエージェントを接続する
UiPath Integration Service には、外部システムをオートメーションに連携させる次のような既製のカスタム コネクタが用意されています。
- Salesforce、Microsoft 365、Google Workspace などのサービス用の事前構築済みコネクタ
- 任意の REST API を UiPath Platform に公開するためのカスタム コネクタ ビルダー
- 資格情報とコネクションの統合管理
Integration Service を使用すると、Maestro は、UiPath でネイティブにホストされていないエージェントやシステムとの間でデータの送受信ができるようになります。Integration Service について詳しくは、こちらをご覧ください。
外部エージェントを使用する
Maestro は特定のベンダーに依存しません。UiPath Integration Service のコネクタを使用することにより、プロセスを再構築することなく、好みの外部 AI エージェント間で作業をオーケストレーションできます。
以下のオーケストレーションが可能です。
- 独自の AI サービス
- 外部の意思決定エンジン
- 他のプラットフォームでホストされているマイクロサービスまたはボット
Maestro は REST エンドポイントを呼び出してこれらのエージェントを起動し、構造化データを含むレスポンス ペイロードを期待します。
Integration Service 経由で外部エージェントを接続する
設計時に、サービス タスクを追加して [外部エージェントを開始して待機] を選択し、選択したコネクタからエージェント アクティビティを設定します。実行時に、Maestro はプロンプトとコンテキストをエージェントに送信し、応答を待ちます。ユーザーはその応答を変数にマッピングし、ゲートウェイ、割り当て、および後続のアクションを動作させます。
外部エージェントを接続して Maestro プロセスから実行し、その出力をキャプチャしてルーティングと意思決定を行う方法については、以下のリンクをご覧ください。
- Snowflake Cortex エージェント
- Databricks エージェント
- Azure AI Foundry エージェント
- CrewAI エージェントを開始 (プレビュー)
- Google Vertex エージェントを実行
クイック スタート: API ワークフローとの連携
Integration Service のコネクタが存在する場合は、そのコネクタを優先します。API レベルの接続 (初期の API、進化するスキーマ、応答のストリーミング) が必要な場合は、API ワークフローを使用します。要求と出力を宣言的に定義し、カスタム コードを使用せずに JSON を解析して、結果を Maestro プロセスに渡します。
コネクタと API ワークフローの使い分け
- コネクタ: システムがサポートされていて、スキーマが安定しており、認証が管理されている場合に使用します。長期的に最良の選択肢です。
- API ワークフロー: API が新しいかサポートされていないか、応答の形態が変化するか、出力がストリーミングのみである場合に使用します。
ステップ バイ ステップのガイド
- Snowflake Cortex - API ワークフロー: Cortex エージェントのストリーミング出力を処理し、出力を収集して使用可能な応答にし、下流のオートメーション用の構造化された JSON を返します。
- Databricks Genie - API ワークフロー: 会話を開始して、COMPLETED までメッセージのステータスをポーリングし、生成された SQL (attachment_id) を抽出して実行し、回答を返します。
エージェントのプロパティ設定
Maestro では、エージェントはビジネス プロセスの参加者として扱われます。BPMN ワークフロー内では、エージェントはサービス タスクを使用して表され、UiPath がホストするエージェントと外部エージェントの両方を呼び出すことができます。各エージェント タスクは、特定の入力パラメーターと出力パラメーターを使用して設定できます。これにより、Maestro はコンテキスト対応のデータをエージェントに渡し、構造化された結果を受け取ることができます。
Maestro のサービス タスクの概要については「BPMN モデリングのタスク」をご覧ください。
エージェント実行モード
エージェントの動作は、サービス タスクの [プロパティ] パネルで定義されます。ビジネス ニーズに応じて、UiPath エージェントまたは外部エージェントを呼び出すようにタスクを設定できます。
エージェントを開始して待機
このオプションは、UiPath テナントにデプロイされたエージェントを呼び出す場合に使用します。以下が含まれます。
- Agent Builder などのツールを使用して作成されたローコード エージェント。
- Python またはその他の言語で開発され、Orchestrator にデプロイされたコード化されたエージェント。
実行時に、Maestro は入力パラメーターを JSON 形式でエージェントに送信します。エージェントが実行を完了すると、プロセスが期待する出力値を含む応答が返されます。
![[エージェントを開始して待機] のプロパティ](https://dev-assets.cms.uipath.com/assets/images/maestro/maestro-start-and-wait-for-agent-properties-587972-534c1758.webp)
外部エージェントを開始して待機
このオプションは、サードパーティ システムや外部システムに接続する場合に使用します。以下を指定する必要があります。
-
コネクタ: 連携ターゲット (例: CrewAI、Salesforce、他のサービス)
-
コネクション: コネクタの構成済みインスタンスです。特定のエージェント、またはコンテキスト固有の資格情報セットを表します。
注:複数のコネクションを定義することで、同じエージェントを異なる権限や動作で使用することができます。
![[エージェントを開始して待機] のプロパティ 2](https://dev-assets.cms.uipath.com/assets/images/maestro/maestro-start-and-wait-for-agent-properties2-587968-fcc95d30.webp)
入力と出力
エージェントの入力と出力は、他の種類の Maestro タスクと同じ方法で設定されます。
- 入力: 実行時にエージェントに渡される変数または式。
- 出力: エージェントの JSON 応答から入力された変数。
Maestro は、入力パラメーターを次の形式の JSON ペイロードとして送信します。
{
"key1": "value1",
"key2": "value2"
}
{
"key1": "value1",
"key2": "value2"
}
エージェントは、Maestro で期待されるパラメーター名と同じパラメーター名を使用して JSON 応答を返す必要があります。これらの値は、タスクの [プロパティ] パネルの [出力] > [応答] セクションを使用してプロセス変数にマッピングされます。

入力および出力の例
入力例 (Maestro からエージェントへ)
| パラメーター | 説明 |
|---|---|
role | タスクのロールまたはコンテキスト (例: 検証と要約) |
prompt | エージェントに提供される指示 (多くの場合、プロセス固有のデータを含む) |
tools | エージェントがタスクを完了するために使用できるツールのリスト |
user_id | プロセスとエージェント コンテキスト間で共有される一意の識別子 |
プロンプトの例: "Complete loan validation for {loan_application_number}. Respond in JSON format using the parameter 'loan_application_status'."
出力例 (エージェントから Maestro へ)
| パラメーター | 説明 |
|---|---|
conversation_id | 会話または対話セッションへの参照 |
loan_application_status | エージェントによって返されるステータスの結果 |
tokens_used | リソース使用状況に関するメタデータ |
ワークフローでエージェントの出力を使用するには、タスクの [出力] > [応答] 設定で、各出力パラメーターをプロセス変数に割り当てる必要があります。
ビジネス ルール (プレビュー)
ビジネス ルールにより、RPA 開発者は DMN (Decision Model and Notation) ファイルをワークフロー ダイアグラムまたはプロセス ダイアグラムの一部として保存および管理できます。
Orchestrator のビジネス ルール
Orchestrator のビジネス ルールでは、Decision Model and Notation (DMN) ベースのルールを保存し、管理できます。専用のアクティビティを使用して、このようなルールを任意のエージェンティック プロセスで評価できます。また、ルールを変更しても、そのルールを使用しているプロセスを再度デプロイする必要はありません。これにより、ビジネス ロジックの動的な更新と維持が容易になります。
Orchestrator では、ストレージと管理に次の一連の機能を使用します。
- ユーザーと Robot の両方で使用するロール ベースのアクセス権を記述した DMN ファイルを保存する
- バージョン管理
- 複数のフォルダーにわたってビジネス ルールをリンクする
- タグを割り当てる
ビジネス ルールの実行を目的として、Maestro は DMN v1.3 をサポートする新しいビジネス ルール タスクを備えています。
ビジネス ルールの各バージョンにアクセスする
ビジネス ルールを追跡するには、[バージョン] フィールドを使用します。アップロードされた DMN ファイルと共にビジネス ルールを保存すると、そのバージョンは変更できなくなります。
ビジネス ルールのバージョンは、[ビジネス ルール] ページで表示できます。バージョンを確認するには、ビジネス ルールを選択してそれを編集するか、直接 [その他のアクション] に移動して [バージョンを表示] を選択します。
必要に応じて、以下のいずれかの方法でビジネス ルールのバージョンをダウンロードすることもできます。
- ビジネス ルールの作成時に DMN ファイルをアップロードした後、そのファイルの横にある [ダウンロード] アイコンを選択します。
- [ビジネス ルール] ページから、目的のビジネス ルールで [その他のアクション] を選択し、[このバージョンをダウンロード] を選択します。または、[その他のアクション] で [バージョンを表示] を選択します。サイド パネルが開き、ダウンロードするバージョンの横にある [ダウンロード] アイコンを選択できます。
ビジネス ルールのリンク
他のフォルダーのビジネス ルールをリンクするには:
- [ビジネス ルール] ページで、[ビジネス ルールを追加] を選択して [他のフォルダーからリンク] を選択します。
- 次に、[ビジネス ルールをインポート] ページに、他のフォルダーのすべてのビジネス ルールのリストが表示されます。
- 現在のフォルダーに追加するビジネス ルールを 1 つ以上選択し、[続行]、[リンク] の順に選択します。
ビジネス ルールのリンクを管理するには:
- [ビジネス ルール] ページでビジネス ルールを選択し、[その他のアクション] に移動して [リンクを管理] を選択します。
- 次のウィンドウで、ビジネス ルールを追加するフォルダーを 1 つ以上選択するか、フォルダーの選択を解除してビジネス ルールを削除します。
- [更新] を選択します。
ビジネス ルールを実行する
ビジネス ルールを実行する前に、以下を確認してください。
- DMN 準拠のエディターを使用して DMN ファイルをモデル化済みである。
- DMN ファイルをアップロードすることで Orchestrator に新しいビジネス ルールを作成済みである。
- ビジネス ルールを実行するには Maestro プロセスを開きます。
- そのプロセスにビジネス ルール タスクを追加します。
- Orchestrator に格納されている DMN ファイルをビジネス ルールとして選択します。
- DMN ファイルのモデル化方法に従って、入力引数と出力引数をマッピングします。
ビジネス ルールを編集する
ビジネス ルールを編集するには、ビジネス ルールに対する編集権限が必要です。
-
[ビジネス ルール] ページでビジネス ルールを選択し、[その他のアクション] に移動して [編集] を選択します。
-
次に、[名前]、[説明]、[ラベル]、[プロパティ]、[ファイル] の各フィールドを編集できます。
注:アップロードされた DMN ファイルと共にビジネス ルールを保存すると、そのバージョンは変更できなくなります。
注:引数名は、文字、数字、アンダースコアのみで構成してください。名前は、文字またはアンダースコアで始める必要があります。
-
[更新] を選択します。
ビジネス ルールを削除する
ビジネス ルールを削除するには、ビジネス ルールに対する削除権限が必要です。
- [ビジネス ルール] ページで、ビジネス ルールを選択します。
- 次に、[その他のアクション] に移動します。
- [削除] を選択します。
プロセス アプリ (プレビュー)
概要
プロセス アプリは、ビジネス ユーザーに日常業務を管理するためのロールベースのダッシュボード、フォーム、トリアージ ハブを提供します。プロセスの健全性をリアルタイムに可視化することができ、遅延、非効率な箇所、エスカレーションを特定するのに役立ちます。これはすべて、エージェント、ロボット、人間のユーザーにまたがる 1 つの統合されたワークスペースから実行できます。
チームは、プロセス アプリを使用して以下を行うことができます。
- リアルタイムのコンテキストとガイド付きの意思決定によって遅延や SLA 違反を解決する
- よりスマートにリソースを選択し、運用効率を向上させる
- 組織全体で問題をより迅速に解決し、ビジネスの成果を向上させる
プロセス アプリは、Maestro のプロセス オーケストレーションと UiPath® のローコード アプリ開発を組み合せたものであるので、運用チームはシステムを切り替えることなくアクショナブル インサイト (次のアクションにつながる分析情報) を獲得できます。
前提条件
プロセス アプリを使用するには、Automation Cloud テナントで以下のサービスが利用可能であることを確認します。
- UiPath Automation Cloud™
- UiPath Maestro™
はじめに
UiPath TypeScript SDK とサンプル アプリ リソースを使用して、プロセス アプリの活用を開始できます。
表 1.
| リソース | 説明 |
|---|---|
| SDK GitHub | UiPath TypeScript SDK のドキュメント |
| サンプルの React アプリ | プロセス アプリのサンプル |
| NPM パッケージ | UiPath TypeScript SDK |
ユース ケースの例
- トリアージ ダッシュボード: オペレーション コンソールからプロセスのインシデントを直接追跡し、エスカレーションに対応します。
- ケースと SLA の管理: SLA を監視して違反を特定し、回復プロセスをトリガーします。
- 人間参加型の運用: 承認、修正、例外処理のための、コンテキストに対応したフォームが提供されます。
Maestro との連携
プロセス アプリは、Maestro のプロセスとインシデント データに接続して、実行中の実行に関するリアルタイムの洞察を提供します。ビジネス ユーザーは、開発者ツールを使用することなく 1 つのインターフェイス内でインスタンスの監視、KPI の追跡、タスクに対する対応を行うことができます。
例: 財務業務プロセス アプリは、遅延している請求書承認を Maestro から表示することができ、ユーザーはアプリから移動することなくタスクを直接承認または再割り当てできます。
- Data Fabric でファイルを管理する
- 前提条件
- ユース ケースの例
- Maestro でエージェントを使用する
- Maestro でのエージェントの動作のしくみ
- Integration Service 経由でエージェントを接続する
- 外部エージェントを使用する
- Integration Service 経由で外部エージェントを接続する
- クイック スタート: API ワークフローとの連携
- エージェントのプロパティ設定
- ビジネス ルール (プレビュー)
- Orchestrator のビジネス ルール
- プロセス アプリ (プレビュー)
- 概要
- 前提条件
- はじめに
- ユース ケースの例
- Maestro との連携